Vol.10 Ha kim Mi(拓殖大学)

「大学に進学するか迷っていましたが、あることをきっかけに大学にチャレンジしようと思ったんです。」慣れない一人暮らしや勉強とアルバイトの両立で大学進学も悩みつつも大学進学を強く決意したKim Miさんにお話を伺いました。

【プロフィール】

Ha Kim Mi(ベトナム)

2021年3月 東京ワールド日本語学校 卒業

2021年4月 拓殖大学 国際日本語学科 入学

大学に行きくて来日、でも現実は…

 私は日本の大学に進学したいと思って来日したのですが、来日してからのストレスは大きかったですね。家族から離れての生活が初めてだったので、何もかも自分でしなくちゃいけませんでした。慣れない日本での生活の大変さとベトナムと日本とのカルチャーショックで、毎日寂しい、辛いなと思っていました。正直、留学が終わったら日本の大学に行かずにベトナムに帰ろうと思っていました。


 日本の大学を受験する外国人留学生の多くは、EJU(日本留学試験)を受験します。私もとりあえず受験しようと思って会場に行ったのですが、そこでの出来事が私の気持ちを180度変えたんです。

年齢なんて関係ない!チャレンジしなきゃ始まらない

 今でも忘れられないのですが、EJUの試験会場のエレベーターでいっしょになった人がいました。その人も同じEJU受験生で、たまたまその人が持っていた書類に目が留まりました。ふと見ると、その書類には「1989年」と書いてあって、その人の生まれ年だったんです。もう大学生っていう年齢ではないのに、大学にチャレンジしようとしていることがとても衝撃的で、この人が頑張るなら私も大学にチャレンジしてみようと気持ちが一気に高まりました。

まさかのコロナ禍の受験

 大学進学に向けての勉強は一生懸命していました。とくに留学生の場合、日本語の力が重要なので、日本語の勉強には力を入れていましたね。当時の日本語学校の先生たちも熱心にサポートしてくれました。


 最初に受けたEJUはあまり点数が高くなかったです。なのでもっと勉強して次は点数を取ろうと意気込んでいたのですが、まさかのコロナウイルス蔓延で2020年7月のEJUが中止になってしまったんです。そこから急遽、EJUを使わずに受験できる学校を探して、英語や日本語の筆記対策や面接対策をして受験に臨みました。

拓殖大学に入って新しいスタート

 拓殖大学は外国人留学生の割合も高く、国際的な雰囲気があります。何より私は日本語の先生になることにも興味があったので、日本語と日本文化、あとは国際社会も勉強できる学校を探していました。この条件で探すと、明治大学と拓殖大学しかないんですね。明治大はEJUが必要なので、拓殖大にすることにしました。


 拓殖大の国際日本語学科は、日本語の勉強だけでなくて日本文化や日本語の授業方法、国際をテーマにした勉強もできます。なので将来は日本語の先生になるだけでなく、通訳者や翻訳者、出版社への就職の道もあります。学生も日本人学生と外国人留学生がちょうど半々ぐらいなので魅力的です。

 元々、私は人と話したり、コミュニケーションを取ることが好きで、ベトナムにいたころは誰とでも仲良くなれました。ですが、日本に来てからは将来が心配になったり、日々のストレスであまり積極的に人と関わろうとしていませんでした。ベトナムに帰りたい!って思う日々で、自分はなんてストレスに弱い人間なんだろうと落ち込んだりもしていました。

 でも、こんな事じゃだめだ、せっかく大学生になったんだから変わろうと思って、今はベトナム人留学生の団体VYSAや社会貢献をしている団体にに入って活動しています。自分と同じ留学生がたくさんいるので、居心地がよく、楽しく活動しています。

最後にみなさんへ

 できないと思ったことをやってみると新しい扉が開けるんだと実感しました。私も最初は嫌だな、怖いなと思ってあきらめそうになりましたが、チャレンジしてみました。やってみてダメだったら途中で止めたらいいんです。でもやってみないと新しい自分には会えませんよ。