グエン・タイン・トゥー

NGUYEN THANH TU

Profile & Message

2006年 Padjajaran大学 日本語学科 入学

2009年     天理大学に留学(UtoU奨学金の一年間のプログラム)

2010年   インドネシアに帰国

2011年     Padjajaran大学を卒業

2012年         日系企業に入社し、通訳・翻訳業務を行う

2016年         JETプログラムの国際交流員として再び来日(北海道東川町の市役所にて勤務中)

神様は乗り換えられる試練しか与えない。一生懸命頑張っていれば、神様もなんとかしてくださるはずです。

人間として成長する時期

天理大学に留学した時は、人生の中で一番楽しくて、人間としても成長した時期でした。

初めての来日でしたが、周りの人が関西弁で喋っていたので、最初の数ヶ月間は全然分からなくて、カルチャーショックを受け、落ち込んだこともありました。しかし、その後は徐々に耳が慣れてきて、留学の日々も楽しく過ごせました。母国の大学では勉強しなかった日本語の単語も少しずつ覚えて、来日前と比べたら、日本語の能力がとても向上してきました。

留学生活では色々な国からの友達と連携するのが一番楽しいことでした。留学する前には、インターネットで色々な情報を調べていましたが、他の国からの友達ができたので、直接色々なことが訊けるようになりました。それから、日本の伝統的な楽器である琴の部活にも参加しました。先輩に弾き方を教えてもらい、演奏もできるようになりました。直接日本文化を体験して、本当に良かったです。

また、スーパーの調理場でのアルバイトも体験しましたが、勉強や部活が忙しく、土・日曜日しか働くことができませんでした。留学期間は1年間しかなかったので、土・日曜日をアルバイトのために使うことがもったいなく感じたので、3ヶ月ぐらいで結局辞めてしまいました。それからは、土・日曜日は日本を旅して回り過ごしました。短い時間でしたが、アルバイトの体験から、仕事への態度など学びました。その他にも留学経験では沢山の学びや、気づきがありました。家族とのコミュニケーションがとても大事だと気づいたり、もっと自分の国を尊敬したり、誇りを持つようになったのは留学生活のおかげでした。

初めての仕事

インドネシアに帰国して一年後、大学を卒業しました。卒業してから、2012年1月に日系企業に入社して、通訳・翻訳業務の仕事をしました。最初の6ヶ月はミーティングの通訳にはあまり出ず、業務だけをやっていましたが、このままでは成長しないと思い、退職を考えるようになりました。しかし、辞めようかと思ったタイミングに新しい事業部に異動になり、仕事の責任や負担も増え、ミーティングにもよく出るようになって、社会人としてとても成長できました。そして、所属していた事業部も発展し、お客さんも多くなりました。

日本人スタッフや、来社してきた日本人のお客さんをサポートするために、たくさん通訳者が必要になり、新しい通訳者を5名採用してチームで働くことになりました。チームのみんなと協力して仕事を行い、自分は本当に助けられました。日本人スタッフのみなさんにもいろいろなことを教えてもらい、今でもその時のことを思い出すと、みなさんと一緒に仕事ができて本当に楽しかったなぁと思います。

新しい挑戦

2016年の始まり頃に大使館のホームページをチェックしていたら、JETプログラムの求人情報が掲載されていました。

JETプログラムは地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省及び財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施する事業です。このプログラムでは、色々な職種がありましたが、北海道の東川町にある市役所での国際交流員に応募しました。そして、面接に合格したので、4月に事業部長へ辞表を出しました。事業部長は、「辞めてほしくないけど、あなたも成長しないといけないので、新しい挑戦をして!」と言ってくれました。他の日本人スタッフに伝えたら、「なんや!北海道って人より牛のほうが多いやろ?!それでもお前行く?」、「冬はほんま、寒いよ!死なないように気をつけて!」「何それ?東川町?聞いたことないな!ちょっと調べとく!ほら!田舎やで!」と言われました(笑)。

たとえ大変だとしても、自分が選んだ道を諦めたくありませんでしたので、北海道の行くことを決意しました。研修や仕事のための準備をして、 7月の下旬に北海道に来ました。国際交流員は私1人だけではなく、タイや中国などの他の国からのスタッフもいます。国際交流員の役割は母国と日本の架け橋になることです。  将来、東川町とインドネシアの一つの町とを連携させることが目的ですが、今の段階では東川町の町民のみなさんにインドネシアを紹介することが主な仕事です。例えば、町民のみなさんやお年寄りのグループを市役所に招待して、インドネシアのことを紹介したり、小学校や中学校を訪問して、インドネシアの文化などの発表をしたりしています。みなさんはインドネシアの文化にとても興味をもってくれ、バティック(インドネシアの伝統的なロウケツ染めの布、世界無形文化遺産)のワークショップを行ったときも興奮してくれました。また、今月からインドネシア語教室も始めます。北海道は冬が早く来るので、やはり寒い時期が長いです。確かに、東川町に住んでいると少し不便なこともありますが、それでも、北海道には沢山きれいな観光地があり、食べ物も美味しくて、今の仕事も楽しいので、ここに来て本当に良かったと思っています。

メッセージ

 日本で生活して、色々な国からの友達ができました。また、国籍や宗教が違う人たちと一緒に仕事をすることにより、異文化理解がとても重要だと気づきました。みなさんは自分と違う宗教、違う考え方を持っていることが分かってきて、自分も偏見に捕らわれないようになってきました。

私は自分の国の文化や宗教をとても大切にしていますが、日本で生活していますので、マナーや態度に注意して、日本のルールや習慣に従うことがとても重要なことです。他の人を尊重し、それぞれの個性や違いを認めることは、一つの成長だと言えるでしょう。

            北海道、2017年10月