ルー・ヴァン・クオン

LUU   VAN   CUONG

Profile & Message

2015年 来日 山口短期大学に入学

2017年3月   山口短期大学卒業後、九州情報大学に編入

2017年7月 日本語能力試験N1に合格

2017年8月 「いいね」という名前の日本語学習者向けFACEBOOKページを立上げる

日本語を上達させたいのであれば、専門学校か日本語学校、都市か田舎かは関係なく、自分の決心と正しい勉強方法が大事だと思います。そのため、まわりの人の意見に流されずに、自分が今いる環境を利用して、目標を追いかけてください。

日本へ行く決心

私はハノイの小さな高校で勉強していました。自宅は工業団地の近くにあり、両親は私に工業大学を卒業して、工業団地にある会社に就職して欲しいと思っていました。親の期待通りの道を歩んでいましたが、ある日、日本語センターが主催する無料の日本語クラスが高校で開催され、私は日本のことを知ることになりました。その日本語クラスに参加し始めてからは、親が描いた道とは別の道を考え始めるようになり、日本への留学について調べました。  

そして、高校3年生の時、私は同級生の友達とは違う道を選ぶことにしました。大学へ進学することは辞めて、日本語の勉強に集中し、日本へ留学することを決めました。

両親は私が日本へ留学することを知り、強く反対しました。親は反対していましたが、自分は日本語センターで聞いた、「日本へ留学して、日本語学校へ入り、2年間後に専門学校か大学へ進み、就職する」という道へ進みたいと思っていました。そして、ある奨学金プログラムで日本へ留学した2人の先輩が開催した日本留学セミナーに参加しました。2人は日本語能力試験のN2とN1は1年間で取れると言いました。2人の先輩に相談に乗ってもらうと、日本へ留学する気持ちがさらに強くなりました。加えて、日本語学校に入らずに、直接短大へ入学し、2年後に大学へ編入できるプログラムがあることをこのセミナーで知りました。

想像と現実

2015年の4月に来日し、山口短期大学へ入学しました。そのとき、日本語のレベルはN4かN3程でした。入学当初、日本人の友達と一緒に授業を取りましたが、授業の内容や先生が言ったことがほとんど分からず、訊きたいことも日本語で訊くことができず、アルバイトも自分では探せなかったことにショックを受けました。そして、東京や大阪の大都市を想像していたので、山口県は田舎で不便なところだと感じていました。


入学後の6ヶ月間では、自分が想像していた大都市で生活するために、短大を辞めて東京か大阪の日本語学校へ移ろうと思ったことが何回もありました。短大では毎日、日本語で授業を受けていましたが、自分の日本語のレベルが低かったため、全然授業の内容を理解することができませんでした。何をしても辛くて、つまらなかったです。しかし、学校を移ることはなかなか簡単なことではありませんでした。そこで、まず東京の生活を知るために、東京に行くことにしました。

東京は、想像より大きく賑やかに感じました。しかし、自分が住んでいる山口県よりも家賃や物価が高く、東京の学校で勉強している留学生たちは、都内ではなく埼玉や千葉など東京近郊に住んでいましたが、それでも家賃が高いので、ルームシェアをしている人が殆どでした。また、日本語学校の学費も高かったです。アルバイトは、山口県よりも多く、探すことは簡単でしたが、勤務場所が都内になるため、行き来が大変だと思いました。東京に住んでいる人は生活費も学費も高いので、通勤時間がかかっても、アルバイトをしなければなりません。私は、これでは日本語を勉強する時間は少なくなってしまうと思いました。

東京から戻り、今の自分の環境を振り返ってみると、日本語を勉強するのにとても良い環境にも関わらず、それを有効に利用していないことに気付きました。

私は学費の免除があったため、東京の留学生たちのようにアルバイトをしなくてはいけないプレッシャーはありませんでした。また、地域の人たちは外国人留学生にとても優しく、親切にしてくれました。日本語学校へ行くよりも、この良い環境で勉強していた方が良いとわかり、日本語の聴解と会話をさらに上達させようと決心しました。

効果のある日本語学習方法

単純に文法の本を読むことや、問題を解くだけではつまらなくなって、一人で勉強しているととても眠くなってしまいます。

そこで、日本語の学習方法をいろいろ調べてみると、日本人が作った日本語学習のためのYoutubeチャンネルを見つけました。それはとても分かりやすく、体系的に学習できる映像でした。内容も面白くて、それまでの勉強方法よりも楽しく学習できる効果的な勉強方法が見つかりました。1つ1つのビデオコンテンツは長すぎない適度な時間で、毎日1つずつ見てコツコツ勉強することができました。

また、授業では分からないところはそのままになってしまいますが、ビデオは繰り返し見ることができるので、分からないところがあってもきちんと理解することができました。その効果的な勉強方法のおかげで、2ヵ月後の日本語能力試験でN2に合格することができました。その後も同じように勉強し、N1にも合格しました。自分にはこの勉強方法が合っているのだと思います。文法と単語の知識が増え、毎日の授業や友達の日常会話などが分かるようになってくると、自信を持てるようになりました。しかし、会話はまだまだ苦手でした。コンビニのレジでアルバイトをしている時に、金額を上手く発音することができず、お客さんは私の名札を見ました。私はとても恥ずかしい気持ちになりました。そして、発音の練習をしっかりしようと決めました。

ベトナムで日本語を勉強していた時には日本人の先生はおらず、来日後も発音や会話の勉強があまりできていませんでした。また、来日当初は恥ずかしさもあって、自分から話すことができず、文法の勉強よりも、発音の勉強の方が困難でした。発音を改善するために、最初は積極的に日本人に話しかけて、発音を真似したり、直してもらったりしていましたが、その人たちは日本語の先生ではないので、どう直したら良いのか分かりませんでした。そこで、再びYoutubeでの日本語学習用のビデオ探しが始まりました。

文法を教えるビデオは沢山ありましたが、発音練習のビデオはあまりありませんでした。時間をかけていろいろなキーワードで検索していると、日本人のアナウンサーのチャンネルを見つけました。発音や話すときの口の形、話し方などを教えてくれるチャンネルです。それは外国人向けのチャンネルではありませんが、自分の探していたことを全て教えてくれました。文章が長いときの息を吸うタイミングや発音、言葉の強調、声の大きさの調整、他人へ自分の意見を伝えるときの言い方などを教えてくれました。

また、このビデオは5分~10分位の長さなので、時間をそれほどかけずに毎日勉強することができました。「塵も積もれば山となる」という考えで、あまり負担がかからないように毎日少しずつ勉強しました。毎日、そのビデオとテレビのニュースを見ていたら、数ヶ月後には自信を持って日本語を話せるようになりました。

また、毎日テレビを見ていたおかげで、日本人の考え方や話題になっていることを理解し、日本人とも様々な話題で話しをすることができるようになりました。そして、積極的に日本人の友達や地域の人と交流することで、さらに自分の会話能力と発音も上達し、今ではとても自信を持っています。2017年の3月に山口短期大学の2年間コースが修了し、九州にある大学に編入しました。山口県にいる間に日本語を上達させたおかげで、編入後も勉強のペースに付いて行くことができています。

そして、新しい学校に慣れてきた今年の7月に、「いいね」というFacebookページを作りました。自分の日本語学習の経験を基に、短い日本語学習ビデオを作り、皆にシェアしました。「いいね」ページは始めたばかりで、未だ定期的に投稿することができていませんが、以前の自分のように日本語学習で困っている人のために、これからもビデオを投稿していきたいと思っています。

メッセージ

日本語を上達させたいのであれば、専門学校か日本語学校、都市か田舎かは関係なく、自分の決心と正しい勉強方法が大事だと思います。そのため、まわりの人の意見に流されずに、自分が今いる環境を利用して、目標を追いかけてください。

九州、2017年12月