ズオン ・リン

DUONG  LINH

Profile & Message

2010年5月 ハノイ国家大学外国語大学 日本語・日本文化学科卒業

2010年9月 来日し、研究生として佐賀大学の修士課程コースに入学

2014年3月 佐賀大学大学院教育研究科修士課程 修了

2014年4月  長崎国際大学で日本語講師として在籍~現在に至る

 ♪ 日本の音楽コンテストで合わせて15回受賞

♪ 在日ベトナム人向け日本語情報サイト「Sugoi」と、Facebook 

Vietnam-Japan Communityグループの管理人者を兼務

日本に来て、お金を沢山貯めようという考えではなく、自分なりの目標を立ててください。

自分を信じて、自分の目標に向かい続ける人にとっては、日本は理想的な国です。日本での日々を無駄にしないように元気に頑張っていきましょう。

”日本”という夢

大学1年生から日本語を勉強しましたが、自分が目指すべき目標がよく分からないまま、最初の2年間を過ごしました。

2年生の終わり頃、周りの同級生が皆交換留学の奨学金の為に一生懸命頑張っていた姿勢に刺激され、初めて自分の「夢(日本へ行くこと)」を意識しました。

その後は、奨学金に選ばれるようにやるべきことを明確にして、絶対に合格できると自分を信じながら、真剣に試験に向かっていましたが、次から次へと試験で落ちてしまいました。

自分の能力にガッカリして凹んでしまいましたが、家族や友達、先生方の暖かい励ましのおかげで、凹んだ気持ちをグッと戻して努力を続けました。


そして、努力したことが報われて、母国で在学していた大学と九州にある佐賀大学の提携プログラムで、研究生として修士課程に進学するチャンスを得ました。あこがれの日本に行けるのを楽しみながらも、心配や不安な気持ちで留学の準備を進めました。

自立とチャレンジ

 大学を卒業するまで、細かいことは全て家族にやってもらっていましたが、日本に来た時には、「自分の人生はこれからだ」と思い、自力で少しずつ日本での生活を始めました。

アルバイト探しも一生懸命やりましたが、なかなか見つからず、精神的につらくて不安な気持ちでいっぱいでした。それでも諦めずにバイトの探しを続けると、4ヶ月目に、家から自転車で30分離れたオプーンしたばかりのスーパーで働かせてもらえることになりました。

また、経済的負担を減らす為、「奨学金を得る」目標を設定しました。

いくつかの奨学金制度へ学校から推薦してもらいましたが、あまり準備に力を入れなかったせいか、2回ほど不合格になりました。

ロッタリ奨学金がラストチャンスになり、今度こそ全力を尽くそうと決心しました。推薦条件に必要な成績を取れるように学校での勉強により力を入れ、応募理由書を書く際に奨学金をもらった先輩たちの意見を参考にしたりしました。

しかし、いくら力を入れても必ず奨学金をもらえる訳ではないので、アルバイトはやり続けていました。

ただ、アルバイトをして勉強と健康に影響がないように、常にバランスに気をつけ、いくら忙しくても必ず週末には休みを取り、近所の公園でジョギングをしていました。

そして、再び努力が報われて、ロッタリ奨学金を得ることができました。その後、論文と就活に専念するために、アルバイトはすべて辞めました。

修士課程終了後(卒業後)は、長崎国際大学で日本語講師として働いています。現在は留学生の日本語教育を担当しながら、ベトナム語教育も行っており、在学中の留学生と日本人学生の交流活動の企画・実行にも力を入れています。

  日本語の勉強で乗り越えた困難や、その他の体験等を学生たちと分かち合うことができてとても嬉しいし、やりがいのある仕事です。

人生は体験と成長の繰り返し

少し長くなりますが、自分の日本での体験についても少し話させて頂きます。この体験のおかげで、私がより成長出来て、今のように意味深い毎日を送る事ができたからです。

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 まずは「旅」の話です。

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「いつまでもこの小さい地方にしか居なかったら、日本に来ている意味がない」と思い、時間がある時はよく旅に出ていました。富士山を登頂できたことはもっとも印象的な旅になりました。

 知り合いの家族の車で富士山の麓まで行きましたが、目の前に富士山が現れた瞬間、自分の夢に手が届くようで本当にワクワクしながら登山を始めました。 

しかし、登れば登るほど気温が下がり、日も暮れてしまい、もう諦めようかと思いましたが、皆さんに応援してもらい、気を取戻して登り続けました。本当に死にそうなくらい疲れていましたが、頂上に着いた瞬間、「やっと自分の限界を乗り越えた」と思い、言葉では表せないほど幸せでした。

山に登ることも、何かの目標を達成しようとすることと同じように、自分の意識が強ければ、絶対出来るものだと思いました。


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 もう一つ話したいのは「音楽」の話です。

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バイト先の店長さんに進められて、NHKの「のど自慢(歌)」コンテストに出場しました。書類選考を通過して、ステージで行われるラウンドに進みましたが、大きなステージで歌うことは初めだったので、とても緊張しました。

アオザイを着て、夏川さんの「涙そうそう」という曲を歌い、そのラウンドは通過することできましたが、残念なことに全国大会までは進めませんでした。

  しかし、そのコンテストがきっかけで、その後、他の歌コンテストにもいろいろとチャレンジしてみました。修士課程が終わるまで、たくさんのコンテストに参加して、全部で15の賞を頂きました。毎日仕事で忙しい今でも、週末は必ず自分の趣味の音楽に時間を使い、ミニーショーを開いたりしています。

人生は一度しかないので、自分の好きなことをやろうといつも思っています。どこで、何をするのかは一旦置いておき、とりあえず自分の熱心な気持ちを常に維持していきましょう。

日本は能力のある人を尊敬する国なので、自分の能力と熱心さを一生懸命に見せれば、いつか絶対チャンスが来ると信じています。   

メッセージ

「若い時、何も恐れない心と元気な足しかないが、その時こそ旅に出て世界について勉強しよう」という言葉が、本当に気に入っています。


消極的なことをあまり考えずに、自分の足で動いて、自分なりに失敗して、自分なりに勉強していきましょう。

日本に来て、お金を沢山貯めようという考えではなく、自分なりの目標を立ててください。

自分を信じて、自分の目標に向かい続ける人にとっては、日本は理想的な国です。日本での日々を無駄にしないように元気に頑張っていきましょう。

長崎、2015年11月