ブイ・ティエウ・レ
BUI TIEU LE
ブイ・ティエウ・レ
BUI TIEU LE
Profile & Message
2023年 大学を卒業後、コンテンツマーケティングの分野で働き始める。
2022–2023年 ホーチミン市のメディア会社や広告代理店で勤務する。
主にコンテンツ企画やイベント運営を担当する。
2024年10月 日本にある日本語学校に留学する。
留学生としての生活を発信するTikTokチャンネルを開設する。
2025年8月 就職活動を始める。
日本・中国・ベトナムの不動産会社や飲食店に応募する。
2025年9月〜現在 正社員として内定を取得し、就労ビザに切り替える。
2026年の目標 日本語能力試験 N2に合格し、デジタルマーケティングを学びながら
日本で活躍できる人材になることが目標。
言葉を学ぶことは大切ですが、それだけでは十分ではありません。それ以上にもっと大切なことは、学び続ける姿勢と、自分の殻を破って挑戦する勇気だと思います。「もっと上手くなってから始めよう」と思っていたら、きっと多くのチャンスを逃していたでしょう。 だからこそ、私はいつも自分に言い聞かせています。小さなことでいいから、まずは始めてみようと。
日本へ留学する決断
ベトナムの大学を卒業した後、ホーチミン市でコンテンツマーケティングの仕事を始めました。
最初の職場では、ファンページの企画や記事の執筆、イベントの運営、KeyOpinion Leader(キーオピニオンリーダー)、Key Opinion Consumer(キーオピニオンコンシューマー)――いわゆるKOL・KOCのライブ配信サポートなど、さまざまな業務を経験しました。毎日が新しい発見の連続で、この仕事がどんどん好きになっていきました。
そんな中、周りの友人たちが海外でのチャンスを探し始めた頃、私は「日本」という国に興味を持つようになりました。
「日本は仕事が厳しいけれど、その分、成長できる環境がある」とよく耳にしていたからです。
インターネットで調べてみると、日本のマーケティング関連の仕事は給与水準も高く、とても魅力的に見えました(後になって分かったのですが、そうした仕事には長い経験や高い日本語力が必要で、決して簡単な道ではありません。)
それでも、「挑戦せずに後悔するより、やって学びたい」という気持ちの方が強く、 1年間の社会人経験を経て、思い切って日本への留学を決意しました。
こうして、私の「ゼロからの新しい挑戦」が始まりました。
「諦めたい」と思った気持ちが、原動力に変わったとき
日本に来たばかりの数か月は、正直とても大変でした。ストレスがたまりすぎて、一度ベトナムに帰国し、約1か月ほど気持ちをリセットする時間を取りました。落ち着いてから、ベトナムと日本の働き方や収入を比べてみました。ベトナムではマーケティングの仕事は安定していましたが、月給は5〜6万円ほどの一方で、日本は生活費が高いものの、得られる経験や成長のチャンスが圧倒的に多いと感じました。「せっかく日本に来たのだから、この時間を最大限に活かしたい。まだ若いし、1〜2年頑張ってダメだったとしても、またベトナムでやり直せばいい。」そう考えて、日本に戻ってからは新しい気持ちで頑張ろうと決めました。ベトナムではTikTokチャンネルを運営しており、TikTok Shopからも収益を得ていました。
しかし、日本に来ると視聴者層がまったく違うことに気づき、「それなら日本での生活をテーマに、もう一度ゼロから始めてみよう」と思いました。そうして新しいTikTokチャンネルを開設し、留学生としてのリアルな日常を発信し始めました。最初は数本の動画からスタートし、、少しずつフォロワーが増え、今では1万5千人を超えました。ベトナムの留学・日本語学習関連の企業からコラボ依頼も届くようになり、「自分の発信が誰かの役に立っている」と感じた瞬間、とても嬉しかったです。
日々の発信を通して、日本語の練習にもなり、話す力や表現力も上達しました。そして何より、「やってみる」ことの大切さを実感しました。小さな挑戦の積み重ねが、今の自分を少しずつ前に進ませてくれたのだと思います。
就職活動とこれからの方向性
日本に来て約1年が経つ頃に、就活を始めようと思いました。周りからは「まだ早いんじゃない?」と言われることもありましたが、私は少し違う考えを持っていました。日本語学校での勉強も大切ですが、実際に働いてみないと分からないことがたくさんあります。授業で学ぶことと自分で勉強することの差もあまり感じられず、「もっと現場で経験を積みたい」「実際の環境で自分を試してみたい」と思うようになりました。だからこそ、日本語がまだN3レベルのときに思い切って就職活動を始めたのです。目的は、早く働くことではなく、実践を通して成長し、チャンスを掴むことでした。
日本、中国、ベトナムの不動産会社、そして飲食店など、様々な会社に応募しました。ある中国系不動産会社からは内定をいただきましたが、業務内容がマーケティングよりも営業中心だったため、自分の目指す方向に合わないと判断し、、丁寧にお断りしました。飲食店の面接も受けましたが、それらの経験は面接練習や日本語での受け答えを学ぶ良い機会になりました。特に印象に残っているのは、日本では「スキルよりも態度を重視する」ということです。日本語学校の先生が「技術は後から学べるけれど、姿勢は日々の行動で示すもの」と教えてくれました。その言葉をきっかけに、TikTokで面接のよくある質問を調べ、自分なりの答えをまとめて先生に見てもらうようになりました。
最初は緊張して上手く話せませんでしたが、練習を重ねるうちに少しずつ自信がついていきました。先生に「日本語がもっと上達してからでもいいんじゃない?」と聞かれたこともあります。でも私は「今やってみたいです。実際に挑戦してみないと、自分の足りないところも分からないから」と答えました。
私は特に不動産の分野に強い興味を持っています。この仕事には、ビジネスとしての戦略性やクリエイティブな発想、そして「人との関わり」がすべて詰まっていると感じるからです。「家」は単なる住む場所ではなく、一人ひとりの夢や人生が形になるものだと思っています。だからこそ、人の夢を支える仕事に携われることに大きな魅力を感じます。そんな中、MPKENを通して日本の不動産業界での求人情報を紹介していただきました。その瞬間、「これは自分のこれまでの経験と想いを活かせる、自然な流れだ」と感じました。MPKENの皆さんのサポートやアドバイスを受けながら、自分の目標をより明確にし、長期的にこの道を歩んでいこうという気持ちが一層強くなりました。
現在はその不動産会社に正式に採用され、同じマーケティング担当の先輩と一緒に仕事をしています。まだ慣れないことや課題も多いですが、ベトナムで培ったコンテンツマーケティングの経験や、個人のTikTokチャンネル運営で得たノウハウを活かせる場があることが本当に嬉しいです。毎日が学びの連続で、これまでの経験が少しずつ形になっていくのを実感しています。大変なこともありますが、今の仕事を通して「日本で働く」という目標が現実のものになってきたと感じています。
情熱を持ち続けて、一歩ずつ目標へ
今は毎日1〜2時間、日本語の勉強を続けています。オンライン講座で学びながら、独学でデジタルマーケティングの知識も深めています。言語とコンテンツ制作、この二つの強みを組み合わせて自分の可能性をさらに広げたいと思っています。
直近の目標は12月の日本語能力試験N2合格、そして2年以内にN1を取得することです。振り返ってみると、日本での最初の苦労は今の自分をつくる大切な経験でした。飲食店の面接で「何を言っているのか全く分からなかった」と言われたあの瞬間も、初めての面接で緊張して言葉が出なかった日も、すべてが自分を強くしてくれたと思います。
日本での生活は時に寂しく、時に大変ですが、その中で少しずつ自信と忍耐力、そして「自分の仕事を好きでいられる力」を身につけました。今では、失敗を恐れることはありません。つまずくことも成長の一部だと分かったからです。
私は信じています。「情熱は道を楽にするものではない。けれど、それがあるからこそ途中で諦めずに進み続けられる。」
目の前の一歩を大切に積み重ねていけば、きっと努力は形になる。
そう信じて、これからも挑戦し続けていきたいです。
メッセージ
日本語を学び始めてから、そして日本で暮らし始めてから、まだ1年ほどしか経っていません。経験は多くありませんが、この時間を通して考え方や人生の見方が大きく変わったと感じています。
言葉を学ぶことは大切ですが、それだけでは十分ではありません。それ以上にもっと大切なことは、学び続ける姿勢と、自分の殻を破って挑戦する勇気だと思います。「もっと上手くなってから始めよう」と思っていたら、きっと多くのチャンスを逃していたでしょう。
だからこそ、私はいつも自分に言い聞かせています。小さなことでいいから、まずは始めてみようと。
日本語で会話してみること、面接を受けてみること、あるいは留学生としての日常を動画で発信すること。どんなに小さな一歩でも、挑戦を重ねることで少しずつ目標に近づいている気がします。
私はまだ学びの途中で、これからも努力が必要です。
けれど、情熱と「諦めない気持ち」さえあれば、いつかきっと、自分の目指す場所にたどり着けると信じています。
東京、 2025/10