コン・トウイ・リン

Profile & Message

2006年 ハノイ貿易大学に入学

2009年     NPO法人アイセック・ベトナムに参加

2010年   NPO法人アイセックのインターンシッププログラムで来日、ハノイ貿易大学を卒業

2011年   研究生として神戸大学で修学、NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに参加

2014年         修士課程修了、ベトアジ東京の活動に参加

2016年         ベトアジ神戸・大阪の立ち上げ

チャンスはただ待っていてもダメで、自分から探さないと掴むことはできません。みなさんのまわりには、ボランティア活動や社会に貢献できる活動、NGOがあります。人に何かをすることは、いずれ自分に還ってくるので、みなさんも積極的に行動してみてください。

アイセックと日本への道

アイセックは1948年創立の非政府・非営利の団体で、世界中の若者・学生を交換留学・海外インターンシップに参加させ、リーダーシップを育む団体です。私は大学3年生のときに友達の紹介でアイセックに加入し、海外インターンシップの募集・参加者サポートチームに属していました。私は日本語を勉強していたので、日本へ行く人たちを担当していましたが、大学4年生の時にやっと自分も海外インターンシップで来日することができました。

2010年6月に大阪にある会社で6ヶ月のインターンシップに参加しました。私にとってそのインターンシップは、日本語の勉強、日本で働く経験を得ることができる貴重な機会でした。はじめは友達も知り合いもいませんでしたが、大阪大学などのアイセックのメンバーが空港に迎えに来てくれたり、いろいろな手続きを手伝ってくれたり、電車の乗り方や周辺のスーパーなどを教えてくれました。週末には大阪の観光にも連れて行ってくれたので、母国とは遠く離れた地ですが、日本のアイセックのメンバーが温かく、親切にしてくれたので安心できました。

日本は先進国なのに伝統や古くからの文化を維持していることを不思議に思い、6ヶ月のインターンシップが終了後には、日本の大学院へ進学すると決めました。とくに私はボランティア活動が好きで、NGOに就職することが夢だったので、日本滞在中に大学院の情報や国際関係の学部の情報を中心に調べました。調べていくうちに、神戸大学の国際文化学部が自分に一番合っていると思い、直接先生に連絡を取りました。そして運良く、研究生として1年間、神戸大学で勉強できることになりました。この1年間は学費と生活費を貯めるために朝夜アルバイトをしながら授業に出席していたのでとても大変でした。しかし頑張って勉強したおかげで、大学院の試験に合格し、2012年の春に神戸大学大学院へ入学することができました。   

私はアイセックのおかげで日本の大学院で勉強し、自分で生活費を稼ぐ経験をすることができました。アイセックは日本へ行く1つの方法なので、日本へ留学したいけれどもチャンスに恵まれない人は見てみてください。

2年間の修士課程とセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

修士1年生の時に奨学金をもらえたのでアルバイトを減らし、ボランティア活動に参加していました。私は国際的に活動したいと思っていたので、偶然にもインターネットでセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのボランティア募集の広告を見つけ、応募しました。そして運良く面接に合格し、6か月間のインターンシップに参加することができました。


この組織は、NGOで世界中の子どもの権利と子どもの成長に貢献する国際的な組織として活動をしています。私の仕事は資料やレポートを英語・ベトナム語から日本語への翻訳、勉強会の企画・実行などでした。この組織はベトナムでも1990年から子どもたちへの教育や健康に関する活動を行っており、ここでのインターンシップを通して、子どもの健康状態や地方の貧しい地域の食事状況など、ベトナムの現状を知ることができました。また、ビジネスマナーを勉強することもできました。

ベトアジとその活動

大学院での勉強やさまざまな活動に携わっていくうちに、私はだんだん食や栄養に興味を持つようになりました。そして修士課程修了後、日本の食品会社に入社し、2年後には東京の工場に転勤となり、神戸から千葉へ引っ越しました。自分の趣味は料理を作ることなので、友達がベトアジを紹介してくれました。ベトアジは、2012年11月に東京にいるベトナム人留学生が立ち上げ、「ベトナムの味」という意味のボランティア活動と料理をする組織です。


主な活動は2つあります。まず1つ目は、ベトナムの食文化の紹介やベトナム料理教室、ベトナムフェスティバルの参加を通じて、募金を集める活動です。2つ目はベトナムでのボランティア活動です。ベトアジは2013年にベトナムの地方に住む貧しい子どもたちのための奨学基金を設立しました。最近では、奨学金を受け取る子どもたちへ将来の夢や目標をサポートする活動も行っています。

ベトアジ東京で活動して2年後、会社の転勤で2016年にまた神戸に戻りました。そのとき、関西地方には京都にしかベトアジがなく、また大阪や神戸にいるメンバーは住んでいる場所がばらばらだったので、ベトアジ神戸・大阪として、1つの大きなグループを作りました。私は東京で活動した経験を活かしてイベントを企画することはできましたが、区民館を借りることや応募者の管理することは経験がなかったので、大変でした。困難なことが多かったですが、2016年7月の第1回料理教室の時には、神戸市にある広い区民館を借りることができ、ボランティアの人やイベントの参加者をたくさん集めることができました。

今までベトアジ神戸・大阪では、12回の料理教室と様々な交流会を開催しています。最初は10名だったボランティアの人は、今では30名になり、参加者も毎回30~50名が参加してくれ、中には毎回参加してくれる人もいます。ベトアジは、ベトナムが好きな日本人や外国人の交流の場、ベトナムの文化を教えたいベトナム人留学生の活動の場、そしてベトナムにいる子どもたちのために何かしたい人の活動の場となっています。

ベトアジの活動を通してたくさんの友達ができました。参加者からの感謝のメッセージや、ボランティアの人たちからの心強いメッセージをもらうことはとても嬉しいです。私はこのベトアジの活動に参加して、友達の輪が広がることだけなく、活動や参加者の管理などのスキルも身につけることができ、とても成長したと感じています。これからこの活動をもっと広げたいです。

メッセージ

アイセックとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ベトアジがなかったら、今の自分はありません。これらの活動に参加したことで、私は自信を持つことができ、日本の生活も面白く、充実しています。チャンスはただ待っていてもダメで、自分から探さないと掴むことはできません。みなさんのまわりには、ボランティア活動や社会に貢献できる活動、NGOがあります。人に何かをすることは、いずれ自分に還ってくるので、みなさんも積極的に行動してみてください。

神戸、2018年2月