グエン・ティ・クエン

NGUYEN THI KHUYEN

Profile & Message

2011年5月  ベトナムで高校を卒業

2012年1月    来日、日本語学校に入学

2013年3月        専門学校に進学      

2014年     短期大学に編入

2016年          東京でOA機器会社に入社

2017年4月        農業の研修を受け始める

2017年9月        神奈川県の組合へ転職

私は日本へ来る前、留学に大きな希望を持ち来日しました。けれども現実は厳しく、日本語の勉強や、新しい生活、生活費、アルバイトなど、大変なことも多かったです。みなさんも、日本にいる目的を考えて、夢や目標を持ってください。最初の大変な時期を乗り越えたら、自分の夢や目標への道へ進むことができ、達成することができと思います。我慢して辛いことを乗り越えたら良いことが待っています。

来日後の壁、努力の大切さ

私は高校生の時から、日本に興味を持ち、日本で生活することに憧れを抱いていました。そして高校卒業後、両親に日本へ留学したいと相談したところ、両親は借金をしてまで私を日本留学へ送り出してくれました。私は衣類など簡単な荷物と日本への大きな希望を持って、来日しました。


日本での生活について夢や希望を抱いていましたが、現実は生活が大変で、辛いことも多くありました。高校生の時までは、いつも両親が色々と世話をしてくれましたが、来日してからは一人で生活しなければなりません。ベトナムからは10万円を持ってきていましたが、それだけでは不十分なので、生活費のためにアルバイトを探さないといけませんでした。しかし、来日前のベトナムでは、挨拶や簡単な言葉ぐらいまでしか日本語の勉強をしていなかったので、日本でアルバイトを探すことはとても大変でした。

来日してから3か月が経ってもなお、アルバイトを見つけることができず、持ってきた10万円も底を付きつつありました。

大変だったのは生活だけではありません。日本語学校での勉強も大変でした。私が日本語学校に入学した時期は1月で、その時期に入学した留学生はたったの3人しかいませんでした。そのため、新入生のための新しいクラスはなく、先に入学していた留学生たちのクラスに途中から参加することになりました。入学当初は、授業のレベルに追いつくことができず、落ち込むことが多々ありました。それでも私は勉強や生活の大変さを乗り越えようと覚悟を決め、少しでも早くクラスメイトに追いつくために日本語の勉強計画を立て、毎日、授業終わってから図書館で一人、予習復習をしました。

そして数ヵ月後には、毎日の予習復習のおかげで、日本語能力が徐々に高まり、ちょうどその頃、アルバイトの面接にも合格することができました。アルバイトが決まったことで、学校での勉強と放課後の予習復習、アルバイトの3つのバランスを取りながら生活をしなければならず、最初のうちはとても大変でした。時には疲れてホームシックになり、泣いてしまうこともありましたが、頑張っているうちに、忙しい日々にも慣れていきました。

また、私が通っていた日本語学校は1年3カ月のコースだったので、日本語学校卒業後の進路についても、早めに考えなくてはいけませんでした。私は、日本人の友達ができやすく、卒業後も就職の可能性が高い大学へ進学したいと思っていました。しかしその一方で、早く就職したい気持ちもあったので、在学期間が短い専門学校か短期大学へ進学したいとも思っていました。悩んだ結果、私は専門学校へ進学しましたが、1年後に編入試験を受けて、短期大学に編入しました。

 

私は常に成功したい気持ちを持っていたので、短期大学編入後も頑張りました。学費も家族に負担をかけずに自分で払うためにアルバイトをしていました。アルバイトは平日の夜や週末にあるので、勉強が疎かにならないように、授業の合間や昼食後の時間などを使って、学校の図書館で勉強をしていました。専門学校は留学生のクラスでしたが、短期大学は日本人の友達と一緒に授業を受けるので、授業の内容をよく理解するために先生にたくさん質問していました。また学校では、日本人の友達がたくさんできたので、分からないことがあると直ぐに聞くことができました。そして、ストレス解消のために、毎週友達と学校でバトミントンをしていました。学校やアルバイトで忙しい日々でしたが、勉強を頑張り続けた結果、1年生の終わりには良い成績を取ることができ、JASSOの奨学金を貰うことができました。これは経済的にとても助かりました。

就職活動での成長と学び

日本の就職活動は開始時期が早く、また短期大学は2年間しかないため、私は1年生の終わりから就職活動を始めました。就職活動を始めるといっても何を準備すればよいのか、全く分かりませんでした。そして、就職活動は短期大学生には厳しく、4年制の大学生の方が有利だと言われていたので、とても心配でした。

その時、偶然にもMPKENの就職活動勉強会を知り、申し込みました。そして面談を何回も行い、2015年の4月から勉強会に参加しました。

MPKENの勉強会に参加することで、日本での就職を目指す多くの留学生と交流することができました。また日本人の先生もとても優しく、MPKENのスタッフも熱心に応援してくれました。週1回2時間の勉強会でしたが、その時期はとても楽しくて、勉強した内容は就職活動で役に立ちました。また、MPKENの勉強会だけでなく、ほかの活動にも参加し、日本人と日本の文化などを段々と理解していきました。

短期大学では、1年生の時にほとんどの単位を取ることができたので、2年生では就職活動に集中し、6月から色々なセミナーや企業説明会に参加しました。そして2か月後、私は初めて最終面接を受けました。その会社は、比較的規模の大きなスーパーマーケットを運営していて、10人が最終面接に残り、そのうち私1人だけが外国人でした。

残念ながら最終面接の結果は不合格でしたが、その会社の面接だけでなく、2ヶ月間で大きな企業の面接を4回受け、学ぶことがたくさんありました。この時期はなかなか内定をもらえず辛かったのですが、諦めずに説明会やセミナーに参加して就職活動を続けていたら、東京にあるOA機器会社から内定を貰うことができました。私はこの日本での就職活動を通して、自分自身の考え方や行動を見つめ直し、大きく成長できたと思います。 

農業への夢

2016年4月、OA機器会社に入社し、社会人としての生活が始まりました。アルバイトと違って正社員はいろいろなマナーを身に付けなければならず、入社してから1週間は、新入社員研修を通して働き方や同僚とのコミュニケーション、お客様とのコミュニケーションについて勉強しました。日本人の先輩からも会社や仕事について色々と教えてもらったので、短い時間で仕事に慣れることができました。

    

私は日本で働いて生活していても、インターネットでベトナムのニュースをよく見ています。私の実家は田舎にあり、自然に囲まれて生活していたので、自然が大好きです。なので、特に農業や食品についてのニュースや、健康を害する農薬のニュースは目に付きます。日本では、野菜などの食べ物の安全性や健康への影響を心配することがほとんどありません。私はこの日本の安全な野菜作りの技術をベトナムへ持って帰りたいという夢があります。その夢を叶えるため、農業の技術を学べるところを探していると、友達が神奈川県平塚市にある農業の会社を紹介してくれ、そこで毎週末、農業の研修を受けられることになりました。そして研修だけでなく、講師の方と一緒に実際に有機野菜の栽培も行いました。その農業研修に参加してから5か月後、悩んだ末、東京のOA機器会社を退職して、平塚市にある組合で働くことを決意しました。

農業研修は週末だけの参加だったので、まだまだ知識は十分ではありませんが、講師の方から学んだことをベトナムで生かしたいと考えています。私の夢は、ベトナムの農家の人たちへ日本の技術を教え、安全な野菜を食べられるようにすることと、故郷のラムドン県ダラット市で有機農業の農園とレストランを経営することです。日本の技術をベトナムへ還元できるように夢に向かって突き進んでいます。

メッセージ

私は日本へ来る前、留学に大きな希望を持ち来日しました。けれども現実は厳しく、日本語の勉強や、新しい生活、生活費、アルバイトなど、大変なことも多かったです。みなさんも、日本にいる目的を考えて、夢や目標を持ってください。最初の大変な時期を乗り越えたら、自分の夢や目標への道へ進むことができ、達成することができと思います。我慢して辛いことを乗り越えたら良いことが待っています。

諦めずに努力し続けられたら、日本で夢や目標を達成することができます。来日したばかりのときは大変なことがあると思いますが、頑張って乗り越え、将来の目標を達成できることを祈っています。

神奈川、2018年6月