グェン ・  スアン  ・ティン

NGUYEN   XUAN   TINH

Profile & Message

2010年 ハノイ交通運輸大学土木学部鉄道学科卒業

2011年   結婚

2011年4月   ハノイ 都市鉄道プロジェクにおいて

図面作成の仕事を担当

2013年 プロジェクトで担当していた仕事が終わり、家族滞在のビザで来日。東京都府中国際交流サロンで日本語勉強開始

2015年2月   日本語能力試験N2合格

2015年6月  日本のIT企業から内定を頂いた

一所懸命日本語を勉強して、周りのコミュニティーと積極的に交流するのはとても大事です。最悪の事態に備えて準備しておきながら、積極なことを考えて行動しましょう。

来日前に計画を

私は、2年半前に家族滞在の在留資格で来日しました。当時、ハノイ都市鉄道プロジェクトで担当していた仕事がちょうど終わったこともあり、会社を辞めて来日しました。

 来日前は、自分の日本語や、来日後の自分のキャリア等、家族滞在ビザで来日する人によくある不安を色々と抱えていました。

しかし、よく考えると、これは「現地で日本語を勉強する」良いチャンスでもあると気づきました。努力して日本語を勉強すれば、例え2~3年後に帰国するとしても、絶対に今よりいい仕事が見つかるだろうと思いました。

来日後の生活が順調に運ぶように、ベトナムにいた時から、dongdu.orgやduhocnhatban.net、webtretho.com等、様々な情報サイトで情報収集をして、以下の計画を立てて、自信を持って来日しました。

① 来日前に日本語を勉強しておく  

② 来日後すぐに無料のボランティア日本語教室に通う

③ 生活費を稼ぐためにアルバイトを探す

④ 日本語がある程度できるようになったら(1年~1年半後)、専門学校や短大に入学して、

   IT又は土木について勉強する

⑤ 卒業後に就職する

障壁を乗り越える

 市役所等でのボランティア日本語クラスについて妻が事前に確認してくれたおかげで、来日後すぐに日本語勉強に着手することができました。先生方は皆親切で、日本語学校にお金をかけなくても1対1形式で日本語を勉強することができました。

しかし、アルバイト探しは思い通りにいきませんでした。当時、日本語がまだあまり出来ていなかったので、ハローワークのスタッフの方に色々とアルバイトを紹介して頂いても、すべて面接で落ちてしまいました。4ヶ月経ってもアルバイトが見つからず、すべての生活費を妻の奨学金に頼っていたので、一時的にストレスを抱えてしまいました。そして、ストレスのせいで日本語勉強に集中できず、日本語は全く上達していませんでした。

諦めてしまうかと思った時もありましたが、夫婦二人で頑張ろうと決心し、アルバイトを探し続けることにしました。おかげさまで、5ヶ月目に妻のお友達の紹介で、日本語が出来なくても受け入れて頂けるアルバイトが見つかりました。仕事は少し大変でしたが、生活費の心配も無くなり、改めて日本語勉強に集中できるようになり、自分が立てたプランを引き続き実現できるようになりました。

自分にとって効果のある勉強法を

数ヶ月間、「みんなの日本語」の教材を使い、ボランティアクラスの先生と日本語を勉強しましたが、ベトナムで勉強していた時とあまり変わらず、このままでは進学や就職ができる日本語レベルにはなかなか到達できないと気づきました。

「自分にとって一番効果のある学習方法は何か?」を良く考え、日本語を教えて頂いている3人の日本人の先生と相談して、新しい勉強方法やスケジュールを提案しました。


文法と読解はそれぞれ別の先生に教えて頂き、その勉強した内容をもう一人の先生と復習することにしました。また、ボランティアクラスで習った内容は完全に理解できていなくても、バイト先のお友達に聞いたりして、できるだけその文法や語彙を日常の会話の中で使うように心がけました。

そして、先生方と妻の丁寧な指導のおかげで、日本に来てちょうど2年目の2015年2月に、N2に合格することができました。


怖がらずに挑戦 就職への道

N2に合格したことで、来日前に立てたプランの一部が達成出来ました。但し、当初の予定からは半年ぐらい遅れてしまったので、短大や専門学への進学は見合わせて、すぐに就職してみることにしました。

日本での就職は分からないことが沢山あり、少し心配でしたが、例え就職が出来なくてもいい経験になるので、とりあえず怖がらずに挑戦してみようと思いました。

日本での就職については全く無知でしたので、友達や知り合いに色々聞いてみたり、情報サイト等で日本での就職について研究しておきました。そして、リクナビやハローワーク等の採用サイトに幅広く登録しておきました。

また、情報源を広げるために、様々な交流会に積極的に参加して、採用情報やその他役に立ちそうな情報を集めて面接に備えましたが、2年前と同じく、今回もまた面接で続々と失敗してしまいました。

しかし、今回は日本語能力が原因ではなさそうでした。面接後は必ず聞かれた質問と自分が答えた内容を思い出し、面接失敗の原因を把握するようにしました。

その結果、①自己分析がまだ足りていないこと、②面接官が本当に聞きたいことを相手の質問から上手く掴めていないことが、原因だと気づきました。

面接で成功するためには、準備段階がとても大切だと分かったので、改めて就職関連サイトで情報を調べたり、就活支援勉強会等を探しました。

そして、私の日本語の先生のご紹介がきっかけで、MPKENと出会いました。MPKENの就活支援勉強会では、日本での就職についての不明なところもよく説明してくれ、模擬面接もあるので、とてもいい体験になりました。

失敗と再挑戦を何回も繰り返しましたが、やっと今年の6月に日本のIT企業から内定を頂くことが出来ました。

これからはもっともっと大変なことがいっぱいあると思いますが、引き続き目標を明確にして、それに沿って頑張れば、絶対大丈夫だろと信じて頑張っています。 


メッセージ

ベトナムでの安定した仕事をやめて、住み慣れた自国の環境から、言語も分からず、仕事もない日本に来る際には、きっといろいろな不安があるのは誰でも同じだと思います。

でも、あまり消極的なことを考えずに、これは自分にとって、家族にとって、絶対いいチャンスだと前向きに考え、十分に情報収集をして、自分なりの詳細なプランを立てておけば、いくら大変なこと起こってもきっと乗り越えられると思います。 

一所懸命日本語を勉強して、周りのコミュニティーと積極的に交流するのはとても大事です。最悪の事態に備えて準備しておきながら、積極なことを考えて行動しましょう。

東京、2015年9月