ここ最近、在留資格をめぐる状況が以前より厳しく感じられるなかで、日本に暮らすベトナム人家族のあいだでは、「このまま日本で暮らし続けるのか、それともベトナムへ戻るのか」を、これまで以上に真剣に考える場面が増えているように思います。

日本で何年も生活し、仕事や子どもの学校、そして日々のごく当たり前の暮らしに慣れてきた人にとって、日本を離れてベトナムに戻るという選択は、決して軽いものではありません。多くの人が迷うのは、単に「帰るべきかどうか」だけではなく、「もし帰るとしたら、そこから自分はどうやってもう一度歩き始めるのか」ということではないでしょうか。

そんな思いを胸に抱えている方が少なくない今だからこそ、これまでVOICE OF ASEAN SEMPAIで紹介してきた、「長年日本で暮らし、学び、働いたのち、ベトナムに戻って新たな道を切り開いた先輩たち」の物語を、あらためて読み返してみるのもよいのではないかと思います。

置かれていた状況も、帰国を決めた理由も、その後の道のりも、一人ひとりまったく異なります。けれど、丁寧に読んでいくと、そこには共通しているものがあります。

それは、「帰る」ということは、すべてを置いてくることではない、ということです。日本で積み重ねてきた経験や学びを持ち帰り、それを自分の故郷で新しい一歩につなげている――その姿が、どの物語にもはっきりと表れています。